相続放棄について①
皆さんこんにちは。事務スタッフの青柳です。
先日、私の友人からのご紹介を受けて、お客様から「相続放棄」の申述手続きに関する依頼を受けました。
事の始まりは、そのお客様のもとへ「貴方は〇〇様の相続人であることが判明したので、お手続きに協力してください」という通知が届いたことがきっかけです。
私たちも業務上、確定した相続人の方々へ同様のお手紙を送付させて頂くことがありますが、一般に法律の世界に従事していない方がそのような手紙を受け取れば、色々と不安を感じてしまうことは容易に想像できます。
そこで、相談に乗ってほしいとの依頼を受け、幾度かお客様との打ち合わせを経た結果、今回は相続放棄の手続きをとることを希望されました。
相続放棄の手続きは
・亡くなった人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に
・自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内にする必要があります。
添付する書類はケースによって色々とありますが、亡くなった方の戸除籍謄本と、相続放棄を申述する相続人の現在戸籍謄本は必須書類の一部にもなっているため、さっそく管轄裁判所の事務官へ書類の確認等のために電話をすると
「戸籍類の原本還付の可否は裁判官の判断によるため、原本還付申請書に理由を添えて提出して頂いても原則は還付出来ず、お約束は出来ません」とのことでした。
(理由は、それだけ相続放棄の手続きは厳格性を持たせているためということと、放棄をすることで相続人ではなくなるということは他の相続手続きで戸籍類を使用する必要性がなくなるため、とのことでした。)
しかし、今回のお客様には添付の戸籍謄本類をどうしても原本還付してもらう必要性があったため、「それでは、法定相続情報証明度がスタートしましたが、当該証明書を(戸籍謄本類の原本の代わりに)添付して手続きは可能ですか?」と伺ったところ
「私たちもその証明書を添付してもらったケースがまだないのでハッキリとお答え出来ませんが、それでも最低限被相続人の最後の戸籍と、申述人の現在戸籍の添付はして頂く(=返還は出来ない)と思います」とのこと。
法定相続情報証明制度は、相続登記の未了による放置を防ぐことを始めとして、相続人による各種相続手続きの負担を軽減するために創設された行政制度であり、例えば各種金融機関では「戸籍謄本類の原本を提示せずとも、その代用として」提出することで、預貯金等の解約手続きが進められます。
そういった趣旨を解すると、相続放棄申述の手続きに関してもこの制度は適用されて然るべきだと考えることが出来るはずです。
今回のケースに法定相続情報証明書を提出する方向で手続きを進めていく意向ですが、果たしてこれは裁判所に通用するのか、或いは分権により行政の手続きは司法のそれとは別だという判断がなされるのか、私自身が非常に興味深い所です。
この続きは次回に。