不動産売買<3>
前回の投稿からだいぶ期間が空いてしまいましたが、前回に引き続き、不動産売買における注意点のうち物的関係、法令関係に関するものについて述べたいと思います。
土地の面積
契約時には、不動産登記簿に記載されている面積によるか、実際に測量した面積によるかを決める必要があります。
というのは、両者の面積が食い違うことがあり、後々売主と買主との間でトラブルになることがあるからです。
不動産の登記制度というのは明治時代からずっと引き継がれている制度で、明治時代には測量の技術が未発達だった等の事情があることから、明治時代に作成された登記簿の土地面積はあまり正確とは言えません。
ただ、50年程前から土地の分筆登記をする際には実測をして地積測量図を添付しなければならなくなったので、法務局に地積測量図が備えられている土地については登記簿面積と実測面積とはほぼ一致すると考えられます。なお、国土調査や区画整理がされた土地については地積測量図が備えられていませんが、公共機関が測量を行っているために登記簿面積は正確だと考えられます。
隣接地との境界
土地の正確な面積を測るには、前提として隣接する土地との境界をはっきりさせる必要があります。
土地の境界について隣地の土地所有者の承諾印をもらって図面を作成すれば、境界をめぐる後日のトラブルも防止できます。
私道負担
日常的に通行する隣接道路や、地下に上下水道・ガス管を引かなければならない道路が公衆用道路であれば問題は無いですが、自分が所有権を持たない私有地の場合には、その道路所有者の承諾を得なければなりません。
契約を行う前に、その部分をクリアにしておくべきです。
法令上の制限
建物を建てるために土地を購入する際には、その土地に希望する建物が建てられるのかどうかを確認するために、以下の様なことを役場等で調べる必要があります。
- 敷地が接している道路は、建築基準法で認められている道路か。
- 敷地は、その道路に2メートル以上接しているか。
- 市街化調整区域ではないか。
- 農地の転用許可申請が必要か。
- 建ぺい率、容積率、建物の高さの制限等。
- 建物の用途制限の種類。
- その地域特有の条例の有無。
不動産の売買取引は一般の方にとってはあまり馴染み深いものではなく、また大変高価な物の売り買いであるため、不安を感じることも多いと思います。
不動産会社さんに仲介を頼んでいる方も、何か不安を感じることがございましたらお気軽に当事務所にご相談頂ければと思います。
司法書士 高木