不動産売買<2>

前回のブログでご紹介した不動産売買に関する各注意事項は、権利関係に関するもの、物的関係に関するもの、法令に関するものに分けることができます。
今回はまず権利関係に関するものについて述べたいと思います。

売主の所有権及び売却意思の確認

不動産売買契約をする上で、売主の確認は何を差し置いても一番重要なことかもしれません。物件の真の所有者から適法に所有権を取得しなければ、たとえ所有権の登記名義を買主に移したとしても後々契約の無効や取消を主張され、権利を失うことにもなるからです。

(1)共有の場合

所有者が相続等で物件を取得しており、何名かの共有の状態である場合があります。この場合、当然ながら共有者全員の合意がなければ物件の所有権全部を有効に取得することはできません。共有者のうちの一人が契約の交渉相手になっていることが実際は多いですが、その人が他の共有者に無断で話を進めている可能性もあります。他の共有者にも、一度は必ず会って話をするべきです。これは、交渉相手が他の共有者の委任状や印鑑証明書を持っていたとしても同じことです。

(2)相続がある場合

登記簿上の所有者が既に死亡していて、その物件を相続した相続人が売主となるケースがあります。登記をすることは義務ではないので、登記の名義が相続人に移されていないことは多々あります。この場合、本当にその売主が物件を相続したのかを戸籍謄本、遺産分割協議書、印鑑証明書等で確認する必要があります。売主名義にする相続登記と買主名義にする所有権移転登記を同時に行うことは可能ですが、買主名義にする登記を行う前に相続登記を済ませておいてもらうのが好ましいです。

(3)当事者が高齢者の場合

超高齢社会になると共に、不動産売買取引でも高齢者の方が契約当事者となる局面が増えています。高齢者の方が契約当事者となる場合、そのご家族の方が代わりに相手と交渉をするケースは多いと思います。高齢者の方が、不動産の取引を行うという意思をはっきりと持っていれば問題は無いのですが、万が一認知症等で意思表示ができない場合に勝手に取引を進めてしまうと、後々のトラブルの元になります。
この場合は、成年後見の制度を利用して代理人となる後見人等を通して契約をするべきです。

第三者の権利の確認

登記簿に、第三者の所有権仮登記、差押(仮差押)登記、抵当権や根抵当権が残った状態のままで物件を買受けた場合、その第三者が自分の権利を行使するとその権利が設定された後に登記された所有権は、強制的に抹消されたり、第三者に名義を移されたりしてしまいます。抵当権等が付いていること自体は問題ではありませんが、物件引渡しの時点でそれらの第三者の権利が全て抹消されることを確認することが必要です。

司法書士 高木

法律無料相談のお申し込み

0120-514-515(平日9:00~19:00)

土日祝日も受付しております。