公益法人の移行の登記手続(2)

前回に続き公益法人の移行の登記手続に関連してご紹介致します。

2.移行後の役員(理事・監事・評議員)の任期の起算点について

法人法では役員(理事・監事・評議員)の任期を以下のとおり定めています。

理事

選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時社員総会の終結の時まで。但し、定款又は社員総会決議によって短縮可

監事

選任後4年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時社員総会の終結の時まで。但し、定款により、選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時社員総会の終結の時までを限度として短縮可

評議員

選任後4年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時評議員会の終結の時まで。但し、定款により、選任後6年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時評議員会の終結の時を限度として伸長可

いずれも任期の起算点は「選任」時となっているため、移行と同時に就任する役員についても、選任決議をしたときから任期を起算しなければならないのか?という疑問が出てきます。

3月決算の法人が4月1日からの移行を計画している場合で、3月末に既存の役員の任期が満了し、4月1日から移行後の役員を就任させたい。若しくは3月末時点で役員全員に辞任して頂き、4月1日から新体制として、移行後の役員を就任させたい。と考えている場合、

例えば平成25年3月に社員総会を開催して4月1日以降の理事を選任した場合、「選任後2年以内に終了する事業年度」は平成26年3月31日となり、当該事業年度に係る定時社員総会は平成26年の5月か6月の下旬に開催されると思いますので、移行後最初の理事の任期は実質的には約1年3,4ヶ月ということになります。

これに対し、移行後の役員が就任する移行の登記時を起算点とすることができれば、「2年以内に終了する事業年度」は平成27年3月31日となりますので、移行後最初の理事の任期は実質的に約2年3,4ヶ月と任期を1年長く取れることになります。

この点に関し、公益法人informationのFAQ問2-4-6(注)2では、「特例民法法人が、移行と同時に(移行の登記をすることを停止条件として)就任する最初の評議員、理事、監事又は会計監査人(以下「評議員等」といいます。)を選任した場合には、当該評議員等の任期の起算点(始期)は、一般社団法人又は一般財団法人の設立の場合の評議員等の任期の取扱いに準じて、選任行為時ではなく、移行の登記時になると考えられます。(一部省略)」としています。

理論的には疑問のあるところですし、「・・・と考えられます。」という部分が曖昧なため、当事務所でも今期申請予定のいくつかの法務局に確認してみたのですが、法務局としては、現時点では移行の登記をすることを停止条件として就任する役員については移行の登記時を任期の起算点とする扱いで統一されていると思われます。

今後解釈が変更される可能性がないとは言えませんが、最初の任期をある程度長く取りたいとお考えの法人様については、移行後の役員の選任決議を行う際にはこの点考慮されてはいかがでしょうか。

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