縁組前後の養子の子
司法書士のもみきです。
「養子縁組後の養子の子は相続人になるが、養子縁組前の養子の子は相続人にならない。」
司法書士受験生にとってはよく出てくる論点だと思いますが、養子は実務でも注意しなければならないポイントです。
以前ご相談頂いた案件はこんな内容でした(実際の案件とは一部内容を修正してあります。)。
被相続人 A
配偶者 B
子 C
養子 D(Cの夫) 平成19年死亡
A・BとDが養子縁組したのが、昭和50年。
C・D夫婦には昭和44年生まれのEと昭和54年生まれのFという子がいます。
※分かりにくいと思いますので図を書いてみてください・・・。
平成22年にAが亡くなり、相続人は配偶者B、子C、養子Dは平成19年に亡くなっていますので、EとFが代襲相続人になるはずですが、縁組前の養子の子Eは相続人にならないはずだったなと思いながら念のため再度調べてみました。
民法第727条にはこう書いてあります。
「養子と養親及びその血族との間においては、養子縁組の日から、血族間におけるのと同一の親族関係を生ずる。」
また、民法第887条第2項にはこう書いてあります。
「被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は第891条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。ただし、被相続人の直系卑属でない者は、この限りでない。」
つまり、養子縁組によって養子と養親の間には血族間におけるのと同一の親族関係が発生するので、縁組後の養子の子は養子の親族との間でも親族関係が発生するのに対し、縁組前の養子の子と養子の親族との間には親族関係が発生しませんので、「被相続人の直系卑属でない者」に該当してしまうことになります。
と、ここまでの結論ではEには代襲相続権がないことになってしまうのですが、今回のEは、Aの実子Cの実子でもあるため、Cとの関係では「被相続人Aの直系卑属でない者」には当たらないということになり、Aを代襲相続することが出来るというのが結論でした。
養子縁組はさまざまな意図で行われており、養子がからむ相続案件には実務でも頻繁に遭遇しますが、ご自身若しくはお身内の方にこのような関係にある方がいらっしゃる場合は十分ご注意下さい。
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