たかが体裁、されど体裁。

司法書士のもみきです。

平成17年に不動産登記法が全面改正されてからは登記申請書を作成するときに

フォントの大きさや改行幅等々、登記申請書の体裁にはさほど気を遣わなくなりましたが、

それ以前は権利証の作成素材にもなる登記申請書(申請書副本といいました。)

をいかにキレイに作成するかということが司法書士の仕事の中でもそれなりに価値あるもの

と思われていたように思いますし、私も現に当時の事務所スタッフには口うるさく言ったものです。

今では、いわゆる権利証は『登記識別情報』という英数字12桁のパスワードのようなものが

法務局が作った書式に記載されて発行されますので、内容さえ間違えなければ

どんなに体裁の悪い書類(データ)を作っても同じ登記識別情報通知書を手にする

ことが出来るのですが、先日、古き良き時代(?)を思い出させてくれるような

雑誌の記事を読みました。

それは昨年実際に起こった偽造権利証を使った不動産詐欺取引についての記事。

初めに偽造権利証を持ち込まれた司法書士さんはそれが偽造であることを見破って

事件に巻き込まれずに済んだとのこと。

その司法書士さんが権利証の偽造を疑った根拠の中に

「文字の大きさや配置から何となく違和感がある・・・。」

「活字(フォント)の大きさが全て同じなのはおかしい・・・。」

「改行の位置が狭すぎる部分がある・・・。」

などなどを挙げておられ、紙媒体が主流だった時代を経験していないと気付かないような

まさに職人の眼を持ってらっしゃったんだなあと感心してしまいました。

今も登記申請書以外でも最終的にお客様に成果物としてお渡しする文書

(定款・議事録・各種契約書等)はたくさんありますので文書の体裁はそれなりに気にしますし、

メールはどこで改行するのが読みやすいのかと書く度に悩んでいる私ですが、

常日頃からこのような姿勢で業務に臨むことがこんな場面で役に立つのだ

ということを改めて認識させられました。

と書いているブログの体裁も何度も見直してしまうのですが、一番読みやすい体裁は

まだ掴み切れていません・・・。

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