東日本大震災と相続

司法書士のもみきです。

6月8日の日本経済新聞に『震災不明者 相続手続き始動』という記事が掲載されていました。

「相続は、死亡によって開始(民法第882条)」しますので、相続手続き(不動産・預貯金・株式・自動車など)を行うには、最低限ご本人がお亡くなりになったことの公的証明書(=戸籍(除籍)謄本)が必要になります。

戸籍に死亡した旨を記載してもらうには市区町村に死亡届をしなければなりませんが、東日本大震災で行方不明になった方については死亡届の受理を簡素化するとのことです。

もともと民法には「普通失踪」と「特別失踪」という制度があります。

「普通失踪」とは、不在者(行方不明者)の生死が7年間明らかでないときに認められる制度で、7年以上経過してから利害関係人が家庭裁判所に請求し、それが認められると7年経過した時に死亡したものとみなされるという制度。

「特別失踪」とは、戦地に臨んだ者・沈没した船舶の中に在った者、その他死亡の危難に遭遇した者の生死が、それぞれ戦争が止んだ後、船舶が沈没した後又はその他の危難が去った後、1年間明らかでないときに、利害関係人が家庭裁判所に請求し、それが認められると危難が去ったときに死亡したものとみなされる制度で、これを今回の大震災にあてはめると、少なくとも来年の3月11日以降に家庭裁判所に失踪宣告を申し立て、それが認められてからでないと、行方不明になった方の相続手続きを行うことはできないということになります。

大震災から明日で丸3ヶ月となり、残念ながら未だ行方不明の方が大勢いらっしゃいますが、助かったご家族の方々が行方不明になった方の預貯金などを引き継ぐために1年間待たなければならないとすれば、あまりにも酷な話です。

今回認められた特例では、市区町村に一定の書類を提出し、それが認められれば死亡届を受理してもらえるということで、さまざまな相続手続きをスムーズに行えるようにするという意味では少し喜ばしいことではありますね。

それ以外にも相続放棄の熟慮期間(通常は3ヶ月)を11月末まで延長することが検討されるなど、少しずつではありますが、被災した方々に対する対応が進んでいるようです。

放射線量調査も各自治体が少しずつ動き出しているようです。
震災直後の国や自治体、報道の不誠実さが混乱による一過性のもので、少しずつ日本の本来あるべき姿になってくれることを期待しています。

※私のガイガーカウンター(シンチレーションメーター)は、初期不良で交換中のためここ数日測定出来ません・・・。
各自治体が細かい情報を提供するようになれば、私が書く意味もなくなりますが、交換品が届いたらもう少し情報提供として書き続けたいと思っています。

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