公益法人の移行の登記手続(3)

公益法人の移行の内容自体からは少し話がそれるのですが、移行の登記の際に提出が求められる各種議事録等は、法人にとって重要な書類であり、このような重要書類の原本は手続が終了したら法人内に保存しておきたい。また、一時的であれ法務局に提出する若しくは代理人司法書士に預けるのは心配だと思う方もいらっしゃるのではないかと思います。

前者の要望に応えるために日常的にとられているのが「原本還付」という手続になります。

議事録のコピーを取り、コピーした書類の余白に「原本還付 上記は原本と相違ありません。 ◯◯法人◯◯ 代表理事 ◯◯(若しくは 司法書士 ◯◯)」等と記載して、登記申請の際に、受付窓口でコピーと原本が同一のものであることを確認してもらった上で原本は返却してもらうことができます。

これは通常の株式会社の登記手続の際にも日常的に行われているのですが、これと混同しがちになるのが「原本証明」です。

これは例えば定款の末尾に「本書は当法人の定款に相違ありません。 ◯◯法人◯◯ 代表理事 ◯◯」等と記載することによって、提出した書類自体が原本であることを証明するものになりますので、さらにこの処理を施した書類をコピーして原本還付してもらうこともできます。

それでは移行の登記の際に添付する議事録等についても「原本証明」をすれば、原本を法人の外に持ち出さないで済むのでしょうか?

この点、答えは「No」です。

定款の原本証明は認められるのに議事録の原本証明は認められないのは、そもそも定款という書類には捺印を施した原本というものが存在しない(公証人の認証を受けた原始定款を除く。)ので、原本証明されたものが原本そのものになるのに対し、議事録は議事録作成者等が署名(記名)押印した原本が存在するはずなので、署名(記名)捺印した議事録のコピーに法人代表者が原本証明を施しても原本と扱ってはもらえないのです。

4月1日の申請の際に、議事録に原本証明をして申請しようとされていた方がいらっしゃいましたらご注意下さい。

ところで、4月1日に移行の登記を予定されている法人さんの中には、もう書類も全て準備出来てしまっている。という羨ましい方がいらっしゃるかもしれません。

もし、もう完璧な書類ができていて見直す必要もないし、4月1日に法務局に提出するまで待ちきれない!という方がいらっしゃれば、下記の特例措置が認められておりますのでご検討下さい。

『特例民法法人であって、平成25年4月1日付けでの公益社団法人若しくは公益財団法人又は一般社団法人若しくは一般財団法人への移行の登記を希望する法人を対象にした特例措置として、当該登記に係る申請書類について、法人からの申出があった場合は、登記所において一時預かり、平成25年4月1日付けで受付することとしました。』
(法務省から移行法人に対する周知文書から抜粋)

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